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『人間の未来―ヘーゲル哲学と現代資本主義』竹田青嗣(ちくま新書)
 ほとんどの人に何の自慢にも聞こえないのだろうが、竹田青嗣の本はかなり読んでいます。
 しかしながら、ここのところまともに本を読める能力をほとんど失っており、この本についてもきちんと読めたとは言いがたいものがあります。
 ひとつわかったことは、近代は①理想→②挫折→③イロニーと進んできているらしい、ということです。
 ①はマルクス主義が資本主義のダークサイドに対するユートピア思想として現れたことに対応します。
 ②はスターリニズムや共産主義自体の失敗に対応します。
 ③はポストモダン思想、つまり①に対する徹底的批判、そして真理なんてなにもない、という考え方であり、それが現代なのだ、といいます。
 竹田青嗣は、③で留まっていてはこのどうしようもない現代から抜けだすことはできない、と強く語ります。
 最近読む本は、みないま時代は大きく変わりつつあるのだ、と口を酸っぱくして言い続けています。
 そんなふうにぼんやりしている私はしょせん相対主義者なのですが、焦燥感にかられないこともありません。
 さて、しかしどうすればいいのでしょうか。
 竹田青嗣の本は環境問題の解決などを緊急課題として掲げるのですが、うまく言い表せない違和感があるのです。
 愚鈍な私はこの本で重要な思想家とされているヘーゲル、それにカント、ホッブス、ルソーをきちんと読んでいかなければならないのでしょう。
 今から間に合うのかは別として。
人間の未来―ヘーゲル哲学と現代資本主義 (ちくま新書)人間の未来―ヘーゲル哲学と現代資本主義 (ちくま新書)
(2009/02)
竹田 青嗣

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2009年03月08日 | Comment:0 | TrackBack:0 | | 未分類 | Top↑ |
『あたりまえのこと』倉橋由美子(朝日文庫)
 倉橋由美子が小説について書いているということを知ったのでこの本を手に入れた。
 厳しいです。
 金井美恵子よりもストレートにばっさばっさと切り捨てる。
 解説で豊崎由美さんが引用しているけれど、『ノルウェイの森』もこんなかんじで切られている。
 
 僕は今どこにいるのだ?
 僕は受話器を持ったまま顔を上げ、電話ボックスのまわりをぐるりと見まわしてみた。僕は今どこにいるのだ?でもそこがどこなのか僕にはわからなかった。見当もつかなかった。いったいここはどこなんだ?僕の目に映るのはいずこへともなく歩きすぎていく無数の人々の姿だけだった。僕はどこでもない場所のまん中から緑を呼びつづけていた。
(村上春樹『ノルウェイの森』)

 ここで長い小説は終わります。
「僕」は別に、「ここはどこ?私は誰?」と言い出すような老人性痴呆症にかかっているわけではなく、意識と感情だけで浮遊している人間にはこうなることもあり得るというフィクションを示しただけのことです。いかにもそれらしいフィクションですが、こんな夢みたいなことは本当はありません。小説の最後になって主人公がこんな夢の中に漂っているようでは、ここに至るまでの長い話を読もうという気力も萎えてしまいます。しかし作者が歌い手となって長い叙事詩を歌って聞かせたのがこの小説だと思えば納得がいきます。歌の終わりならこんな風でもよいのです。(p176)

 倉橋由美子が言うことは、自閉的な小説はだめ、妄想はだめ、きちんとした文章じゃなきゃだめ、私小説なんてもってのほか、ということで、まったくもって至極まっとうなことしか言っていない。
 
 現代人は何かしら問題、というよりも精神的な病気や欠陥を抱えて苦しんでいなければならないという不文律ができあがっているかのようです。立派な人間、優れた人間では駄目で、賢い人間も駄目なら美男美女も駄目、平凡で大した取り柄はないけれども変わっていなければならないというのが現代小説の決まり事だとすると、こういう決まり事に支配されている小説家もあまり賢いとは言えなくなります。おそらくそういう小説家自身もその主人公並みにつまらない人間なのでしょう。(p164)

 ここまで来ると私は小説家ではないけれども読者としてどこかで同じような気持ちでいることに気付かされて耳が痛い。
 自我にこもってあーだこーだ言う小説を今まったく読みたくないのだけれど、それでいいんだな、と思ったりもした。
 小説を読むために役立つ話が満載です。
あたりまえのこと (朝日文庫)あたりまえのこと (朝日文庫)
(2005/02)
倉橋 由美子

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2008年11月02日 | Comment:0 | TrackBack:0 | | 未分類 | Top↑ |
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