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『下流志向 学ばない子供たち 働かない若者たち』内田樹(講談社文庫)
 単行本がベストセラーだった。
 文庫化されるまで待ち、文庫化されたらすぐ読んだ。
 この本を読んで、いろいろ書こうと思ったけれども、うまく書けないのでやめた。
 たぶん内田さんの仮説の適切さ、論理展開の鋭さに驚嘆しかしていないから。
 とにかくこの本は講演がもとということもあり、さらっと読めてものの見方がころっと変わってしまう。
 内田さんがふだんブログでも書いていることだが、学ぶことに市場原理を持ち込むことが何にせよまちがっている、ということがいちばんのポイントだろう。
 教えるー学ぶと言うことは甚だしく非対称的な関係である、ということを書いていたのは柄谷行人であったか。
下流志向〈学ばない子どもたち 働かない若者たち〉 (講談社文庫)下流志向〈学ばない子どもたち 働かない若者たち〉 (講談社文庫)
(2009/07/15)
内田 樹

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2009年08月11日 | | TrackBack:0 | | | Top↑ |
『影の現象学』河合隼雄(講談社学術文庫)
 15年くらい前に買った本だが、ここのところのユング関係の本を読む勢いで再読をすることにした。
 ほとんど覚えていない。
 若い頃はここに書いてあるおおよそすべてのことをオカルトじみて感じて敬遠していたのだと思う。
 今読むと切実な問題に思われる。
「影」とは私たちが日常生活を送る中でじぶんが否定してきたタイプの考え方や人格が無意識の中に押し込められたもののことらしい。
 何かを否定することによって今の自分がある。しかし否定したものは自分の中から完全に閉め出されたわけではない。無意識の中に押し込めただけなのだ。
 それは時には今の「自分」とは全く逆の人格でありうる。
 たとえばまじめで規律をきちんと守るタイプのひとは、ルーズで奔放な性格のひとを許せないかもしれない。
 だが、その人の無意識の中にはその人の「影」として否定してきた、ルーズで奔放な人格があったりする。それが夢の中を通して現れたり、また場合によっては二重人格のような形を取って現れる。
 重要なのは、自分が自分で意識する自分だけではなく、「影」をも含めて自分である、ということを自覚することだ。
 ある他者を否定し、拒絶するのはいったいなぜなのか。自分の中に切り捨ててしまったその他者が潜んでいて、それにたいする愛や憎しみがごちゃごちゃ整理できずうずまいている。
 それを認め見つめることで自分が一段階変わっていくことができる。
 弁証法的に。
 そんなことが具体的な事例を交えて読みやすく書かれている。
 ヒトラーにとってユダヤ人は「影」だったという。私も同じような考え方をしていないか。
 身近でも気にくわないとか苦手だと思う人がたくさんいるけれど、それは自分の「影」だからではないか。
 どうしていけばいいのかわからないが、まずは否定、拒絶をしそうになったら、どうして私はこんなにこれほどいやがっているのかをじっくり考えることからはじめればいいのかな。
 とにかく自分のことは自分でもほとんど分かってはいないのである。
2009年08月05日 | | TrackBack:0 | | | Top↑ |
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