『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』

『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』押井守監督
 伝説的な名作とされているらしいこの作品をようやく見ることができました。
 時間と夢についてのいわば思弁的な映画といえるのでしょう。
 筋などについてはある程度予備知識としてわかっていたとはいえ、見てみるとかなりのインパクトがありました。
 わたしは昔から同じようなことを考えていたからです。
 今の自分は「現実」を生きているようだが、実際は「夢」を見ているのではないか。
 それが「夢」であるという確証が得られないから「現実」として生きているだけなのではないか。
 デカルトや、竹田青嗣の現象学の本などにも同じような話は出てきて、うまく言いくるめられてしまったようが覚えがあるのですが、その言いくるめられようを思い出せず、やっぱり夢と現実の区別なんかできないよなあ、といまだに思ってしまうのです。
 そのアポリアから抜け出す方法はこの映画ではけっきょく示されません。
 とても怖い話だと思い、まだこの映画の世界の空気に閉じ込められたままです。
 文化祭の前日が繰り返される、というのがこの映画の導入ですが、たしか『イノセンス』でも、部屋に入っていくシーンが何度も何度も反復されていたことを思い出しました。
 この監督は時間や夢についてずっと考えつづけているのでしょうか。
うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマーうる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー
(2002/09/21)
平野文古川登志夫

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『時をかける少女』を見る

『時をかける少女』細田守監督
 大林宣彦版をリアルタイムで映画館で見た世代としてはアニメは見づらいところだったが、評判がいいので見た。
 これはよかった。
 大林版がいいと言っても、若いときに見たものは素晴らしいと刷り込まれているわけで、このあいだもう一度見たところ、どうなんだろう?と首をかしげる場面も多数。
 細田版は設定が大林版の20年後ということになっているらしく、筒井康隆の小説とはまったく関係がない。タイムリープの話題を除けば。
 小学生の頃小説版を読んでどきどきしたわたしとしては、映画になってもあの別れの場面がきちんと描かれてどきどきさせてくれればそれでいいのだ。
 この映画はそれがきちんと描かれている。
 ネット上の評価をぱらぱら見ていたら、タイムリープによってひどい目にあった同級生に対する視点がないから許せない、みたいなことを書いてあるものもあったが、高校時代なんてそんなものでしょう。
 とりあえずじぶんのことがすべてであって、というよりもじぶんのことや恋愛のことばかり集中して考えられるのが高校時代なのであり、それが活き活きと描かれているのがすばらしいなあ、とすっかり枯れ果ててしまった私は思うのでした。
時をかける少女 通常版時をかける少女 通常版
(2007/04/20)
仲里依紗石田卓也

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『フラガール』を見た

『フラガール』李相日監督
 評判がよかった映画をいまさら見た。
 よくできている映画で、おもしろかった。
 蒼井優をCM以外で見るのは実は初めてなのだが、上手だし、かわいいね。
 筋は何だかむりしていたり破綻しているところもあるのだが、映画も小説も破綻しているべきであるというのが持論であるわたしとしてそれはそれでよい。
 かつて名選手でいまは落ちぶれてしまった監督が、初心者ばかりの弱小野球部を鍛え上げ、甲子園に行く、的な映画である。
フラガールスタンダード・エディションフラガールスタンダード・エディション
(2007/03/16)
松雪泰子豊川悦司

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『チャーリーとチョコレート工場』を見る

『チャーリーとチョコレート工場』ティム・バートン監督
 すみません。
 私にはまったく合わない映画みたいでした。
 結末がどうなるのか、ということだけを頼みに最後まで見たけれど、それだけ。
 なぜ合わなかったのか、ということはたぶん このあいだ、ほぼ日で糸井重里と北野武の対談を読んだときのこのやりとりが説明してくれそうだ。

糸井:ほかの映画がどういうふうなのか、ぼくは知らないんだけど、その「マァ、いいか」っていうのは、
たけしさんの映画独特のもんなんですか。
たけし:「マァ、いいか」っての、多いね。アバウトだから。ウン。
糸井 :あきらかにそれは北野映画の大きな特長だよね。
たけし:だから、映画でもいろいろあって、監督の頭の中で「こういう方向」って、カッチリと構図や画ができてて、プランが立ってる人は、絶対「マァ、いいか」はダメなんだけど。
糸井 :うん。「マァ、いいか」はダメですよね。
http://www.1101.com/kitano_takeshi/2008-09-22.html

 この『チャーリーと』はまさに「カッチリと構図や画ができてて、プランが立ってる人」が作った映画で、作り手の頭の中のものが正確に表出されている映画なのかもしれない。
 だけど、その場合、作り手と私がまったく折り合わなければ、それは徹底的に合わなくなってしまうのではないか。
 創作の中で偶然やら、もしくはむしろ思い通りにいかない状況みたいなものがあることで、共通理解への道が開けてくるんじゃないかなあ、と思ったりした。
 違和感は、つまりこの映画のすべてがあまりに清潔すぎて、猥雑だったり破綻している部分がなさすぎるのではないか、ということに尽きる。
 もちろん映画なんてひとりで作るものではなく、きっといろんな苦難を乗り越えてこの映画もできているのだろうし、むしろそういうものを感じさせないのが粋ともいえる。
 ただ、ふつう映画を見たとき、ひどい、とか、素晴らしいとかは思うのに、いいのかもしれないけれど私には合わない、と思った映画は珍しかったので、そんなことをいろいろ考えた。
チャーリーとチョコレート工場チャーリーとチョコレート工場
(2007/10/12)
ジョニー・デップフレディー・ハイモア

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バス男

『バス男』ジャレッド・ヘス監督
 友だちに教えてもらった、ひじょうにゆるゆるの映画。
 しかし、このゆるさはここちよい。
 主人公の高校生、ナポレオン・ダイナマイトはけっして無気力だったり、世間に無関心であったりするわけではない。
 ただ、一般的な反応や、行動を取らないだけだ。取れないのかもしれないけど。
 だから周りとうまくいかない。
 だけどうまくいかなくても平気(に見える)。
 こういうのって、元気づけられる。
 私はなんだかうまくやろうとして、いつもつかれてしまっている、なと思わされる。
 それにしても、一般的な反応や、行動を取らないのは主人公ばかりではなく、基本的にこの映画全体がそうやってできている。
 ふつうの映画やドラマで処理されるべきむだみたいな「間」が放置されている。
 それがここちよい。
 現実はたぶんこんなものである。
 
バス男 (ベストヒット・セレクション)バス男 (ベストヒット・セレクション)
(2007/11/21)
ジョン・ヘダー

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